公開日: |更新日:
債務問題にお悩みの方であれば、テレビやネット検索などで「法テラス」という名称を見かけたことがあるのではないでしょうか。何となく、法律関連の組織であることは分かっても、詳しい特徴までは分からないという方が多いことでしょう。
そもそも法テラスとは何か、任意整理に関してどんなことが相談できるのか、利用するメリット・デメリットなどを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
正式名称は「日本司法支援センター」。平成18年に国によって設立された法的トラブル解決のための「総合案内所」という位置づけになります。例えば以下のようなことを依頼することができます。
何らかの事情で借金や債務を抱えてしまい、現状の収入だけでは返済が困難という場合、どのように債務整理を行うのがよいかを相談することができます。任意整理がよいのか、あるいは個人再生や自己破産した方がよいかといったことを、専門家として助言してくれます。
法律事務所のテレビCMなどでよく見かける「過払い金」。借入金に対する利息は年15〜20%と利息制限法で定められています。払い過ぎていれば過払金を取り戻すことができるので、ご自身がその条件に合致しているか、どのように手続きするべきかなどを相談できます。
実は借金や利息は支払期日から一定期間(条件によって5年~10年)が経過すると、時効によって消滅します。ただし何もせず自動的に消滅するという訳ではなく、債務者が一定の事実を自分の利益のために主張する「援用」という意思表示を行う必要があります。そのやり方やノウハウを、法テラスはアドバイスしてくれます。
そもそも債務問題にお悩みの方は、法律の専門家に相談したくても、費用面で躊躇ってしまうことも多いことでしょう。その点、法テラスを利用すれば、3回まで無料で弁護士または司法書士への相談を行うことができます。
債務整理を弁護士または司法書士に正式に依頼する場合、最初に一定の費用を支払うことが求められます。そうした場合の支援として、法テラスでは契約している弁護士・司法書士へ依頼する場合、その費用を立替払いしてくれます。立替された費用の支払いは法テラスの判断により、5,000円~10,000円程度の無理のない範囲で返済していきます。
債務整理にかかる費用に関しても、法テラスで契約している弁護士・司法書士へ依頼の場合、法テラスを通さずに依頼した場合と比べ、費用が安く設定されています。一例として、任意整理を法テラス利用無した場合約11万円なのに対し、法テラスを利用すれば約4万3,000円に抑えることができたというケースがあったとのことです。
上記のように、債務問題にお悩みの方には頼りになる法テラスですが、実は誰でも利用できる訳ではありません。国内に住所を有しない者、在留資格のない外国人、法人・組合などの団体は対象外。また、以下の条件を満たしている必要があります。
法テラスは経済的にゆとりのない方の支援を目的としている組織のため、一定以上の収入や資産のある方は、利用対象外とされています。例えば単身者の場合、手取月収額が18万2,000円以下(東京や大阪などの生活保護一級地の場合は20万200円以下)で、資産合計額が180万円以下とされています。
直面している債務問題が、例えば和解や調停、示談などによって解決できる可能性がある場合、もしくは自己破産の免責が認められる可能性がある場合、法テラスを利用することができます。なお、この要件を満たしていなくても、無料相談は利用することができます。
例えば貸主に対する報復や恨みをはらしたいという場合や、法テラスを自己の宣伝のために利用しようとする場合、権利濫用的な訴訟といった公序良俗に反すると判断された場合には、法テラスの利用は不可とされています。
前述しました通り、法テラスは誰でも利用できるというものではなく、むしろ一定以上の深刻な状況に直面している方でなければ利用できないという現実があります。元々が、経済的にゆとりのない方への支援を目的とした組織であるということを、しっかりと踏まえておいてください。
法テラスを利用する場合、依頼者が担当する弁護士・司法書士を指名することは出来ません。それゆえ、債務問題にも関わらず、離婚問題を得意としている弁護士に当たってしまうという事態も起こり得ます。
法テラスを通じて債務整理を依頼する場合、法テラスという組織全体で審査や審議、手続きなどが行われるため、個人の弁護士や司法書士に依頼した場合と比べ、より時間がかかる傾向があります。速やかに問題を解決したいという場合には、あまり適しているとは言えません。
以上の通り、法テラスは経済的に厳しい状況に置かれている方でも、法律的支援を受けられるように設立されたという出自になります。専門家に債務整理を相談したいけれど、その相談費用さえ捻出するのが厳しい…そんな方こそ、ぜひ法テラスの門を叩いてみてください。