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個人再生

個人再生も任意整理も債務整理の方法のひとつです。
ここでは、個人再生の特徴やメリット・デメリットについて、任意整理と比較しながら見ていきましょう。

個人再生と任意整理、
それぞれの特徴

個人再生とは、債務者が裁判所に申し立てをして、裁判所によって選ばれた個人再生委員の指導のもとで行われる債務整理のことです。
これに対し、任意整理とは、裁判所を通さず相手側(債権業者)との話し合いで行われる債務整理のことです。

いずれも借金の減額が可能な点で同じですが、個人再生が裁判を行うことで大幅な減額が可能なのに対し、任意整理では裁判をしない分利息分程度しか減額できません。

ただし、任意整理では一部の借金だけを選んで債務整理することが可能ですが、個人再生では一部だけ手続きすることはできず、全ての借金が債務整理の対象となります。

個人再生と任意整理、
それぞれのメリット

個人再生の最大のメリットは、借金が大きく減額される点。
どれくらい減額されるかは借金の総額に合わせて法律で定められていますが、最大で9割の減額ができるため、借金を減らす効果が非常に大きいのです。

これに対して任意整理は、借金そのものは減りません。借金の利息を減額して月々の返済額を軽減する手続きなので、借金総額を個人再生ほど減らすこともできません。
ただし、裁判所を介さず話し合いにより和解するため、手続き自体は比較的簡単かつ短期間で終わる上、状況に合わせて一部の借金だけを選んで債務整理することもできます。

個人再生と任意整理、
それぞれのデメリット

個人再生も任意整理も、手続き後5~7年間は信用情報に事故情報として登録されます。いわゆるブラックリストに載る、という状態です。
そのため、その期間は新規でローンやカードの申し込みができなくなります。

個人再生のみ官報に名前が掲載されますが、一般的には官報を見る機会はほとんどないため、職場や家族に知られるリスクは低いでしょう。

個人再生に
向く人・向かない人

以上の点から、個人再生に向いている人は、以下のような人です。

  • 借金額が大きい人
  • 安定した収入がある人
  • 話し合いができない債権者がいる人など

一方で、任意整理に向いているのは、以下のような人です。

  • 借金額がさほど大きくない人
  • 支払いができるだけの収入がある人
  • 手間や労力をかけたくない人
  • 一部の借金だけを債務整理したい人など

個人再生の手続きの流れ

個人再生手続きの流れは、裁判所によって違いがあります。
ここでは、東京地方裁判所を例にとって説明します。

1.専門家(弁護士・司法書士)への相談

個人再生手続きは、個人で行うこともできますが、弁護士など専門家に依頼するのが一般的です。
相談・依頼を受けた専門家は、各債権者へ受任通知を送って借金の調査をします。その間に、依頼者は必要な書類や資料を集めます。

2.個人再生の申し立て

必要書類が揃ったら、裁判所に個人再生の申し立てをします。
申し立てを受けると、東京地方裁判所では「個人再生委員」を専任します。

3.手続きの開始決定

個人再生委員が専任されたら、債務者と個人再生委員とで面談を行います。
面談で特に問題がなければ、個人再生手続きが開始決定されます。

4.再生計画案の作成

裁判所によって債務の総額が決定されたら、今後の具体的な返済方法を記した書類を「再生計画案」として裁判所に提出します。

5.再生計画の認可

相手側(債権業者)からの異議が出なければ、再生計画案が認可されます。
再生計画案が認可されると、その5週間ほど後に再生計画案が確定します。

6.返済開始

「再生計画案」に沿った月々の返済が始まります。
個人再生を申し立ててから実際に減額した借金の返済を開始するまでにかかる期間は約6ヶ月。
また東京地方裁判所では、本当に返済を続けていけるか確認するために、再生計画案の確定前に「履行テスト」が行われます。履行テストがきちんと行われない場合、それ以上手続きを進めることができません。

より手間の少ない
「任意整理」も選択肢に

以上のように、個人再生は借金の額を大きく減らすことができる魅力的な手続きですが、書類を揃える手間がかかる・履行テストの遂行義務がある・時間がかかるなどのデメリットも多くあります。

減額後の毎月の返済額を支払う能力があるのなら、デメリットの少ない任意整理での債務整理をおすすめします。

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