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借金の支払いを滞納し続けるとどうなるのでしょう。
滞納している間中、何度も返済を催促され続けるのはもちろん、やがて訴訟に発展し、せっかく築いた財産と社会的信用をすべて失うことになりかねません。
どのようなことが起こるのか、具体的にご紹介します。
支払日に返済をしないと、数日後にはカード会社や消費者金融などから電話に督促の電話がきます。
すぐに電話に出て支払予定日を伝えれば、その日までは待ってもらえる場合も多いのですが、電話に出なければ自宅や勤務先にも電話をかけてくることがあります。
滞納し続けていると、新たな支払日と、借金残高に遅延損害金を上乗せした金額が記載された払い込み用紙が郵送されてきます。
この時点で支払いを行えば督促は止まりますが、未払い状態が続く間は、督促の書面が送られ続けます。
何度も督促があったにもかかわらず滞納を続けると、債権業者から訴訟を起こされることになります。
裁判所から届く呼び出し状には「答弁書」や「口頭弁論期日呼び出し状」などの書類が同封されていますが、これも無視し続けると先方の資料と証言に基づいた判決が下され、こちらの敗訴となります。その結果、先方は債務者の給料や財産をいつでも差し押さえできる状態になるのです。
滞納が3ヶ月以上続く場合、信用情報(俗にいう「ブラックリスト」)に事故情報として登録されてしまいます。
これにより、ローンやクレジットカードの新規申し込みが最長5年ほどできなくなるなど、行動が制限されます。
滞納が長期化すると、裁判所から支払督促が届きます。
通知を受け取った後何もしないまま2週間が経過すると、強制執行によって自宅・給与・預貯金などの財産が差し押さえられてしまいます。
※「督促状が届いた場合」「裁判を起こされた場合」についてはこちらでも詳しく説明しています。
借金を返済しない限り、カード会社や消費者金融など債権業者からの督促は続きます。
また、滞納期間が長いほど、「ブラックリストに載る」「裁判を起こされる」「財産を差し押さえられる」などのリスクが上がり、結果として周囲にばれる可能性も高まります。
借金の滞納期間が長く、返す当てもないのであれば、「債務整理」で借金を整理しましょう。
弁護士や司法書士などの専門家に相談すれば、借金の総額や依頼者の経済状況などを考慮して適切な債務整理方法を提案・サポートしてくれます。
債務整理には、大きく分けて3種類の方法があります。
裁判所を介さず、債権者側との話し合いにより、将来発生する利息を削減または減額してもらう方法です。
利息分が減額された借金総額を60回程度で分割し、3~5年かけて返済していきます。
裁判所を介さない唯一の債務整理のため、手続きが比較的容易です。管財人などの設立も不要なので、その分の費用も抑えられます。
また一部の借金だけを選んで整理も可能。保証人がいる借金を整理対象から外せば相手に迷惑をかけずに済み、持ち家・車のローンを外せばこれらの財産を手放さずに済みます。
信用情報には債務整理を行なった情報が登録されますが、逆に言えばリスクはその程度。月々の返済が楽になる債務整理の中でも、大きなデメリットがほとんどない方法となります。
裁判所を通して借金を大幅に減額してもらう手続きのことです。
最大で9割の減額が可能で、減額した借金は原則3年で分割返済していきます。
借金そのものを減らす効果が非常に大きく、持ち家といった一部の財産も残せるのが特徴ですが、裁判所を介する分手続きが複雑化し、裁判所が定める個人再生委員との打ち合わせなどの手間も増え、ます。さらに認可決定までの間に、弁済を継続できるか確認するために実際に振込みを行なう「履行テスト」をクリアしなければ、手続きを進めることができません。
また、適用には負債額の条件(100万円以上5000万円以下)があり、さらに家族や職場の協力が必要になる場合が多く(家計収支表や収入証明書の作成、退職金見込額証明書の発行請求など)、任意整理に比べて周囲に借金がばれやすい整理方法になります。
※東京地方裁判所(立川支部含む)では、個人再生の申立ては原則として、弁護士を代理人とすることが想定されています。
すべての借金をゼロにする手続きのことです。
裁判所により今後の支払いが不可能と認められると、手続き後に借金を返済する必要がなくなります。借金の苦しみから解放され、人生をやり直すことができます。
※税金や養育費といった非免責債権は、引き続き支払う必要があります。
ただし、デメリットも相応にあります。
裁判所による免責が決定するまでは、一部の職業(警備員・士業など)には就けません。
免責後、20万円以上の財産はすべてお金に換えて相手側(債権業者)に渡されるので、マイホームや車など、一定以上の価値のある財産は手放さなくてはなりません。
信用情報に事故情報が残るため、自己破産から5~10年はローン・クレジットカードの新規契約ができなくなります。
さらに国の発行する機関紙「官報」に名前と住所が載りますが、これは誰でも見られる機関紙なので、破産が周囲に知られる可能性も高まります。
そもそもギャンブルや株式投資の失敗で作った借金は「免責不許可事由」となり、債務の免責が認められない、つまり借金がなくならない場合もあります。
すべての借金が無条件でなくなるわけではないのです。
任意整理は、他の手続きに比べて大幅に借金を減らす・支払いを免除することはできませんが、収入があり、返済額を減らせば返済可能という方には任意整理が向いています。
というのも、任意整理には様々なメリットがあります。
裁判所を介すれば、提出書類の種類や関わる人数が増え、工程も複雑化し、認可(または不認可)決定までの時間もかかります。
任意整理は、裁判所を介さずに進められる唯一の債務整理。その分、手続きにかかる手間も時間も少なくて済みます。
債務整理を行うと信用情報(いわゆるブラックリスト)に載ることになります。その上、自己破産と個人再生では「官報」という専門紙に住所と氏名が載ることになり、ヤミ金業者などからのダイレクトメールなどが届くようになることも。
任意整理では官報には情報が載らないため、周囲に借金のあることがばれにくく、かつ個人情報も極力保護されます。
一部の借金だけを選んで債務整理をすることができます。
保証人付きの借金を外せばその人たちに迷惑をかける必要がなく、また残債が残っている家・車のローンなどを外せばそれら財産を手放す必要もありません。
任意整理は個人でも行うことは可能です。
しかし、交渉のプロである債権者と法律の知識のない一般人が対等に交渉するのは難しいもの。さらに、手続きに必要な書類・資料をすべて自分で用意するのも多大な労力がかかります。
弁護士や司法書士といった専門家にお願いすれば、書類・資料の用意から先方との交渉まですべてお任せ可能。
さらに、弁護士や司法書士が依頼を受けて受任通知を送付すると、貸金業者などからの直接の取立て(郵送・電話による督促)も停止されます。返済に追い立てられる状況から解放され、生活も安定することでしょう。
弁護士に依頼する場合のメリットは以下の通りです。
弁護士と司法書士は、どちらも国家資格を取得した法律の専門家ですが、債務整理においては取り扱いの上限に差があります。
弁護士には金額の制限がないので、借金の少額~多額に関わらずに依頼できます。
司法書士は個別の借金が140万円以下の場合に限り、取り扱いが可能です。
和解交渉中に訴訟を起こされ、簡易裁判所から地方裁判所にもつれこむこともないわけではありません。
その場合、弁護士なら引き続き対応可能ですが、司法書士は簡易裁判所の代理人権しか持っていないため、新たに弁護士を探して一から依頼することになります。
また、任意整理を行っている途中でさまざまな事情により方針転換し、自己破産や個人再生に移行する場合があります。
ここでも弁護士はすべての代理人権が与えられているため、裁判所での裁判官との面談(審尋)への同席を含めたすべての対応が可能ですが、司法書士には「書類作成代理人」しかないため一部の業務には対応できません。
弁護士に依頼するよりも、比較的費用が安く済む傾向があります。
報酬の規程は司法書士・弁護士それぞれにあり、日本司法書士会連合会は1社5万円を上限としているのに対し、日本弁護士連合会は「着手金:上限なし」「解決報酬金:1社2万円以下」としています。
つまり、司法書士に依頼した際は明確に「1社あたり5万円より多く報酬金を受領してはならない」とされていますが、弁護士に依頼した場合は理論上、上限がないのです。
また、一般的に「弁護士=敷居が高い」というイメージがあるので、心情的にも司法書士の方が相談しやすいかもしれません。
案件によっては司法書士では対応できないため、140万円(1社あたり)を超える借金がある場合や裁判を起こされそうな(長期滞納のある)場合は、最初から弁護士への依頼を考えることをおすすめします。
高額なイメージのある弁護士事務所ですが、報酬金額は事務所ごとに異なり、中には司法書士に依頼した場合と同等程度の費用で済むような事務所もあるのです。
また、高慢・高圧的といったイメージとは真逆の、依頼者に寄り添い親身になって対応する弁護士も増えています。
一度事務所を訪ねて対面で相談し、人柄と相性と費用目安を確かめてから依頼すれば、納得いく任意整理ができることでしょう。