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任意整理ができないケースは?

任意整理は債務整理の一種であり、借金の支払い負担を現在より軽減するのに有効です。しかし、任意整理ができないケースもあるので、あらかじめ要件を確認しておく必要があります。ここでは、任意整理ができないケースと、任意整理ができない借金への対処法について紹介していますので、参考にしてください。

任意整理ができないケース

任意整理ができないケースは多岐にわたります。一つずつ条件やポイントを確認しておきましょう。

債権者が拒否している

任意整理というのは、債権者との交渉によって成立する解決方法です。債務者側が任意整理を希望すれば、それだけで手続きが進められるというものではありません。債権者側にそもそも交渉を行う意志がない、交渉ができても拒否された場合は、任意整理を選択することはできなくなります。

債権者に拒否された場合は、別の解決方法を選ぶか、交渉する債権者を選び直す、場合によっては債務整理そのものを断念せざるを得なくなることもあります。

このように、債務者がそれを望んでも債権者が交渉に応じなければ、あるいは拒否すれば、任意整理をすることはできません。多くの貸金業者は任意整理に応じてくれますが、必ず応じるわけではありませんし、会社の方針として任意整理に応じない業者というのもあります。

債権者が法的措置を取っている

債権者が法的措置を取っている場合も、任意整理を行うことは難しくなります。法的措置には、債権者側による財産の差押えや、裁判所への民事訴訟や支払督促の申し立てなどがありますが、このような法的措置が取られている場合、任意整理で法的な強制執行を停止させることができないからです。

法的措置が決定する前であれば、任意整理は可能ですが、差押えなどの法的措置が決定した後に任意整理の手続きを進めることは、とても難しくなることを知っておく必要があります。

同じ債務整理でも、自己破産や個人再生の場合は、差押えの強制執行を停止することが可能です。しかし、任意整理に関しては、法的措置による強制執行や差押えを停止することができないのです。

元金の返済が難しい

任意整理の仕組みは、借金の総額から将来の利息や遅延損害金など元金以外の支払額を減額して、元金のみの返済にできるというものです。将来利息をカットしてもらえること、返済額を元金のみにできるのは大きなメリットですが、条件として、3年間(最大5年)で元金を完済させることが必要になります。

従って、仮に元金のみの返済だけでよくても、その元金を3年~5年の間で完済できる返済能力がなければ、任意整理はできません。

任意整理における元金の返済能力は、現在の職業や収入状況で判断されます。例えば、現在無職で収入のない人は、元金の返済能力がないとみなされ、任意整理ができなくなる可能性が高いでしょう。任意整理をするためには、借金(元金)を3年~5年の間に完済できる能力を持っている必要があります。

借入からの返済が少ない

任意整理は、債務者にとって都合がよくても、債権者にとってデメリットが多く損失が大きくなる場合は、断られてしまうことがあります。

例えば、「借入からの返済が少ない」場合はその好例です。そもそも、貸金業者との取引期間が短く(比較的最近借入をした)、借金をしてからほとんど返済していない場合は、借入金額に対する返済額がとても少なく、利息もほとんど支払っていないため、この時点から任意整理を行っても、月々の返済額をそれほど減らせない見通しが立ってしまいます。

元金がそれほど減っておらず、利息もほとんど支払われていない状況で任意整理を行うことは、債権者(貸金業者)にとって損失リスクが大きくなるため、任意整理の交渉に応じてもらえない可能性が高いのです。

任意整理の対象外の借入である

任意整理はすべての借金で適用した方がいいというわけではありません。任意整理をしてメリットが得やすい場合と、そうでない場合があるのです。任意整理を行う最大のメリットは、将来利息が減免になることです。このメリットがほとんど得られない、またはメリットよりデメリットが大きくなる場合は、任意整理の対象外になります。

例えば、「奨学金」を借りている場合は、もともとの金利が低いので、任意整理をしても将来利息の減免幅は少ないので、大きなメリットが得られません。また、自動車ローンを組んでいる場合は、自動車の所有権は本人ではなく債権者にあるので、この状態から任意整理を行うと、自動車を没収されてしまう可能性があります。

以上のようなケースでは、任意整理の対象外の借入と考え、任意整理ができないというより、しない方がいいと考えるべきでしょう。

任意整理ができない借金への対処法

任意整理ができないケースでは、“別の弁護士に相談する”“裁判所の手続きを行う”“おまとめローンを利用する”といった対処方法があります。

別の弁護士に相談する

弁護士や司法書士は基本的に任意整理など債務整理の専門家ですが、任意整理の依頼を断る弁護士・司法書士もいます。断る理由はさまざまですが、事務所として債務整理の案件が得意でないことや、過払い金がとれない可能性が高い、依頼を受けても儲けが少ないこと、そのほか、事務所の都合などで依頼を断るケースがあるようです。

このような場合は、再交渉しても依頼を受けてくれる可能性は低いので、別の弁護士や司法書士に相談したほうがいいでしょう。

裁判所の手続きを行う

借金を3年~5年で完済できる能力がない、取引期間が短く借入金をほとんど返済していない、債権者の方針により任意整理が難しい、といった場合には、任意整理以外の債務整理を選択することができます。それは、裁判所を通じて債務整理を行う方法です

例えば、裁判所に「自己破産」の手続きを行い認められれば、返済義務が免除され、収入の有無に関係なく債務整理ができます。また、裁判所に申し立てをして「個人再生」を行えば、借金の元本を大幅に減らすことができます。このように、裁判所の手続きを利用して債務整理をするのも一つの方法です。

おまとめローンを活用する

任意整理の代わりに、「おまとめローン」を利用する手段もあります。おまとめローンは、複数の債権者からローンで借金をしている場合、複数のローンを統合して一本化し、借金をシンプルにまとめることです。毎月の返済額を抑えることができますし、返済期間を5年以上に設定できる場合もあるなど、任意整理の仕組みと親和性の高い部分もあります。任意整理が不可能な場合の代替手段として考えておきましょう。

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